『虔十公園林』 [人文科学(主に小説)]
宮沢賢治の絵本を読んだ。
「虔十公園林」
虔十は杉を植林し、生前も没後も近所の子どもに喜ばれ、生前は馬鹿にされていたが後世において高く評価される。
杉が大嫌い(アレルギーというわけではなさそう)な平二は人から忌み嫌われる仕事をしていたそう、どんな仕事だったのかちょっと気になる。
「ざしきぼっこのはなし」
ざしきぼっこ、漠然とだが認知可能な精霊の一種?
ざしきぼっこが居る家は繁栄して、居なくなる(飽きると出て行くらしい)と没落してしまうようだ。
この本のスゴイところは、本の美観を損ねるバーコードを購入後はがして捨てられること、業界標準化してもらいたいものだ。
『ギリシア案内記(下)』 [人文科学(主に小説)]
『ギリシア案内記(上)』 [人文科学(主に小説)]
9月の文庫本購入予定 [人文科学(主に小説)]
ジョン・アーヴィング『オウエンのために祈りを』(上)(下)
トルーマン・カポーティ『犬は吠える』①②
蒲田慧『日本の原発地帯』
アーサー・C・クラーク『海底牧場』
ケストナー『飛ぶ教室』
坂口安吾『勝海舟捕物帳』
さだまさし『いつも君の味方』
オリーヴ・シュライナー『アフリカ農場物語(下)』
『フーコー・コレクション』⑤
プーシキン『オネーギン』
水木しげる『墓場鬼太郎』②
筒井康隆『最後の伝令』 [人文科学(主に小説)]
『イエスの現場』 [人文科学(主に小説)]
桃山学院大学の教授が書いた本を読んだ。
聖書をよく研究されて、イエス・キリストの実像にせまろうという試み?
イエス・キリストの言行は、普遍的に通用する内容ではなく、その現場の状況を合わせて理解する必要があると全編を通じて述べられている。
私はカトリック教会のやっている幼稚園に通ったり、小学生になってからもカトリック教会の日曜学校に通ったりしていたせいか、イエス・キリストに対してはかなり崇高で神聖なイメージを持っていたので、この著者があらわしているような人間くさい卑小なイエス像を提示されると、けっこうとまどってしまう。
どことなくサヨク臭くて、ちょっと読みにくかった。
ヘンリー・ジェイムズ『黄金の盃』 [人文科学(主に小説)]
ヘンリー・ジェイムズの最高傑作長編を読んだ。
とことんまで心理描写にこだわっており、そのため登場人物は少ない。
純粋なアメリカ人の父娘(母は早世)がイギリスにやってきた。
パパは大金持ちで美術品のコレクター。
ヨーロッパ中の美術品をカネにあかせて買い漁っている。
アメリカの故郷に美術館を開くのだ。
イタリア人の没落貴族の末裔の公爵とシャーロットはラブラブ。
だけどふたりは貧乏なので結婚できない。
そこで、いろいろおせっかいな人のはからいもあって、公爵はその金持ちのアメリカ娘と結婚し、シャーロットはそのパパと結婚する。
アメリカ人の父娘(アダムとマギー)は大の仲良しで、ふたりとも社交嫌いで、マギーと公爵の息子と3人、なかばひきこもって仲良くしている。
一方社交好きの公爵のシャーロットの義理の母と息子(もとカップル)は、いつもふたりでいちゃいちゃ(?)している。
こんな平和で満ち足りた生活を象徴して、ひびのはいった黄金の盃としている。
ひびのはいった黄金の盃に対する、処し方は各人各様だ。
公爵はそんなものは価値がないと無視する。
シャーロットは欲しがるが、公爵の意見に従う。
マギーはころっと騙されて買ってしまう。
アダムは、そんな盃が存在しているのかしていないのかも不明(とぼけ?)。
ファニー・アシンガム夫人は、床に叩きつけて、盃をぶち壊してしまう。
マギーは2片だか3片に割れた盃をもとに戻そうとする。
前半は公爵の視点で、アメリカ人父娘の無邪気さを見つめられる。
後半はマギーの視点から、真実の探求がなされる。
結果、マギーは成長する、あるいはイノセンスを失う。
アダムとシャーロットの夫妻はアメリカに帰り、公爵とマギーの夫妻はイギリスにとどまる。
(了)
一見難解だが、登場人物が整理されているので、意外と読みやすいと思う。
『民族から読みとく「アメリカ」』 [人文科学(主に小説)]
アメリカについて勉強しました。
多民族国家、合衆国。
イギリス系、ドイツ系、アイルランド系、イタリア系、ユダヤ系、アフリカ系について、それぞれ殖民から現在に至るまでを個別に解説してくれています。
ヒスパニック系については現在進行中のため、章をさいては解説されていません。
かつてはメルティング・ポット(るつぼ)と言われ、移民も時代と共に皆「アメリカ人」になっていくと考えられていましたが、現在でも各民族は個別のアイデンティティーを持ち続けていて、あるいは維持しようと努力している様を称してサラダ・ボウル(共存)であることが総論として述べられています。
差別や格差の問題はありますが、宗教も言語も違う他民族が共存して繁栄しているアメリカ社会ゆえ、アメリカン・スタンダードはグローバル・スタンダートたりえると結論づけられています。
スティーヴン・キング『スザンナの歌(下)』 [人文科学(主に小説)]
ダークタワーシリーズの第六部を読みました。
スザンナを乗っ取った妖魔マイア、スザンナは彼女から重要なことも含めていろいろなことを聞き出します。
一方、ローランドとエディは、スティーヴン・キングに会いに行きます。
スティーヴン・キングの実在するこの世界以外の世界、つまりキャラハン神父やエディ自身が生まれた世界は、キングの創作によるものであることを知ります。
70年代、すでに流行作家になりつつあるキングは、ダークタワーシリーズだけは書くのを途中でやめてしまったことを告白します。
どうもクリムゾン・キングが邪悪な力で持って、スティーヴン・キングに働きかけて、ダークタワーの物語を進行させないように働きかけているようです。
ローランドはキングに得意の催眠術をかけて、ゆっくりとぎれとぎれでもいいから、ダークタワーシリーズを書き続けるように暗示をかけて去っていきます。
一方、ジェイクとキャラハン神父は99年のニュー・ヨークにたどり着きました。
マイア=スザンナは子どもを産むために、ホテルを留守にして、ロウメンや吸血鬼の巣窟になっているディキシー・ピッグに出かけた後でした。
そこで、スティーヴン・キングから送られてきた赤いルームキーを使って、ジェイクたちは黒の水晶球を取り戻します。
それを安全な場所に保管して、決死の覚悟でディキシー・ピッグに向かいます。
マイアは結局、黒衣の男、ウォルターに騙されていたことを知って絶望しますが、自然の法則に従って(?)、スザンナとローランドの子どもを出産します。
(本編 了)
そして衝撃のエピローグ。
エピローグはスティーヴン・キングの日記。
いろいろあって、ダークタワーシリーズを第4部まで書き上げますが、99年に自動車事故でスティーヴン・キングは死んでしまいます。
(了)
『荒地』ほどではないにしろ、すごく中途半端な終わり方の『スザンナの歌』。
謎をいっぱい残して第7部『ダークタワー』(完結編)に突入です。
残念ながら、文庫本の9月の発売予定には載っていません。
10月以降が待ち遠しいですね。
8月の文庫本購入予定 [人文科学(主に小説)]
スティーヴン・キング『いかしたバンドのいる街で』
桜井亜美『空の香りを愛するように』
『シュタイナーの死者の書』
倉田百三『親鸞』
ピーター・ストラウブ『ヘルファイア・クラブ』上下
『フーコー・コレクション』④
水木しげる『墓場鬼太郎』①
ヘンリー・ジェイムズ『ワシントン・スクウェア』 [人文科学(主に小説)]
難解な心理小説で知られるジェイムズの一番人気の中編小説を読んだ。
短い(240ページほど)せいもあってたしかに読みやすい。
主人公キャサリンは美人でもなく、賢くもない。
だけど本人も母親から相続した独立した財産があり、さらに父親もお金持ち。
その財産を狙ってモリス青年が求婚してきた。
疑うことを知らないキャサリンは、モリス青年にぞっこんになる。
キャサリンの父親は外科医でたいへん非情だが聡明な人物なので、すぐにモリス青年の魂胆を見抜いて、ふたりの仲を裂こうとする。
しかし、キャサリンも父親の頑固な性格を受け継いでいて、絶対にモリス青年を諦めない。
そこで、父親は遺書を書き換えて、キャサリンには遺産がいかないようにする。
その父親の決意が脅しでなく、本物だと悟るとモリス青年はさっさと婚約破棄して去っていく。
キャサリンは失意のどん底に落ち込み、終生独身ですごすようになる。
(了)
キャサリンとそのパパの対決の緊迫感が読みどころ。
キャサリンパパは、キャサリンの出産によって愛妻を失っているので、その娘に対してたいへん複雑な気持ちを抱いているようだ。
スティーヴン・キング『スザンナの歌(上)』 [人文科学(主に小説)]
ダークタワーシリーズの第六部が始まりました。
第五部でカーラにて狼退治をしたガンスリンガー一行。
しかし、スザンナは妖魔の子を孕み、謎の母親「マイア」に精神も乗っ取られ、黒の水晶球を盗み出し、1999年のニューヨークに逃亡します。
マイアは1999年のニューヨークに協力者がいるらしく、そこで妖魔を出産するつもりです。
スザンナは完全に人格を失ったわけではなく、ひとりの女性の中に、マイア、スザンナ、さらに復活したあばずれデッタ・ウォーカーも共存している状況で、その場その場において誰かが主導権をとったりとられたり。
上巻の前半はそんなスザンナの冒険。
60年代の女性だったスザンナ(オデッタ)は、99年のニューヨークに戸惑います。
いろいろあって居心地の良いホテルの一室に収まります。
マイアは、スザンナも読者も知らなかったいろいろな情報をもたらしてくれます。
妖魔の父親の正体もついに判明します。
後半は、ローランドとエディの冒険。
水晶球は失われましたが、カーラの時空を旅する邪教徒集団の魔法の力によって、閉ざされた扉は再び開きます。
宇宙を支えている、異世界のダークタワーは、コチラの世界ではニューヨークの空き地に咲く1本の薔薇です(なぜ?)。
その空き地の所有権をめぐる争いが70年代のメイン州で繰り広げられます。
その空き地を代々所有してきたのは稀覯本の収集家の偏屈な親父。
マイアの告げ口によって、ローランドが現れる地点と時間がわかっていた紅の王の手下はギャングの大集団を待機させていました。
ローランドとエディは、70年代に現れるや否や彼らとの激しい戦闘になります。
エディは負傷しますが、「カ」の導きによるものか、協力者があらわれ、ローランドたちは無事、古本屋に追いつきます。
古本屋は所有物を手放すのが大嫌いなタチで、前回の約束を反故にして、土地をローランドに売らないと言い出し、エディはブチキレそうになります。
ローランドがハイスピーチかなにかで、古本屋を口説いて、無事、土地(と薔薇)はローランドたち「テットカンパニー」が所有することに。
エディは、『呪われた町』のキャラハン神父同様、自分もスティーヴン・キングの創作人物なのではないかとアイデンティティが揺らぎます。
(つづく)
第五部あたりからちょっとメタフィクションめいてきたのが気になります。
下巻は、スザンナを追って、99年に行ったキャラハン神父とジェイクの冒険でしょうか。
オースティン『ノーサンガー・アベイ』 [人文科学(主に小説)]
オースティンのちょっと短めの長編(中編)小説を読んだ。
もっとも初期に書かれたものらしく、また内容的にもちょっと軽薄で、『プライドと偏見』などで流行作家になっていたにもかかわらず、女史の死後までお蔵入りになっていた不遇の中編。
ゴシック小説好きのロウアーミドル階級の主人公キャサリン(16歳)と、アッパーミドル階級のヘンリー・ティルニー(18歳)の恋愛とその幸福な結末。
ふたりは温泉地バースの社交場で出会い、恋に落ちる。
前半はバースでの生活。
キャサリンに振られた悪友がティルニー将軍(ヘンリーのパパ)にいろいろ誤解を与え、後半ではノーサンガー・アベイにキャサリンは招かれ歓待され、ヘンリーとその聡明な妹と楽しいときをすごす。
ゴシック小説に夢中で、ちょっとおばかだったキャサリンも、現実を学び賢くなっていく。
例の悪友がティルニー将軍にまたしょうもないことを吹き込み、誤解はさらに深まり、キャサリンはノーサンガー・アベイを追っ払われ、涙の一人旅で賃馬車を乗り継ぎ実家に帰る。
父親は2人の仲を裂こうとするが、ヘンリーは父親にさからって、キャサリンに求婚する。
やがて将軍の誤解もとけて、ハッピーエンド。
(了)
途中ちょっとキャサリンが想像をたくましくするあたりはちょっとかったるいですが、青天の霹靂でアベイを追い出される辺り、その事情のリアリズム(要するにカネの話)などはさすがの迫力でぐいぐい作品に引き込まれていきました。
『ピルグリム・ファーザーズという神話』 [人文科学(主に小説)]
読みかけで止まっていた本を読了した。
ピルグリム・ファーザーズという神話―作られた「アメリカ建国」
- 作者: 大西 直樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/05
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
あまりアメリカの歴史には詳しくないので、勉強になりました。
前半では、プリマス植民地の歴史(約70年)が詳細に紹介されています。
後半では、合衆国の共和制がかたまってきたとき以降、連邦政府への求心性を維持するために様々なかたちで、史実がゆがめられて政治的に利用されて、現在でも一般に語られるような「ピルグリム・ファーザーズ」というイメージが形成される過程を逐一追っていきます。
アメリカにはあまり興味のない私でもけっこう楽しかったです。
植民地時代のアメリカの立場から見上げると、今は没落した大英帝国が恐ろしい巨悪としてそびえている感じです。
ディケンズ『ピクウィック・クラブ(中)』 [人文科学(主に小説)]
ディケンズの出世作のユーモア小説を読んでいる。
上巻を読んだのはずい分前だったので、内容はほとんど忘れてしまっている。
もともと明確なストーリーもプロットもなしに、裕福な初老の独身紳士ピクウィック氏とその仲間達が旅をして、いろいろな話を見聞きしたり、トラブルにあったりする近代小説以前の散文読み物といった感じ。
中巻でもあちこち旅をしてまわっていろいろあるが、メインになるのは、前巻で巻き込まれたピクウィック氏の結婚詐欺容疑の損害賠償の民事裁判。
もちろんピクウィック氏は無実なのだが、悪徳弁護士によって有罪にされて賠償金の支払いを命じられる。
ピクウィック氏は金持ちだし、命じられた賠償金を払えばそれでことは済むのだが、実直なピクウィック氏は無実の罪で金はびた一文払えないと主張し、債務者監獄に収容されることになりそう。
監獄に入れられる前に最後の旅行にみんなでバースに行って社交する。
(つづく)
ファインタック『激闘ホープネーション!(下)』 [人文科学(主に小説)]
大長編SF小説を読んでる。
というわけで、植民星ホープネーションは、宇宙怪物の大襲撃にあい、国連軍の残存艦隊は太陽系守備のためそそくさと撤退してしまった。
植民星は地球本国から見捨てられてしまったのだ。
まだ辺りには宇宙怪物がうよううよしているのに、残されたシーフォート宙佐には戦闘艦もない、どうする!
身分違いの女房も暴漢に輪姦されて、精神に異常をきたしてしまった。
シーフォートは国連代表として、大農園主たちの悲願だったホープネーションの独立を認めてしまう。
そして、彼は決死の覚悟で宇宙ステーションに昇った。
この未来世界では核兵器の使用は国連憲章によって厳しく禁止されている。
核兵器を使ったら確実に極刑になるらしい。
しかし、シーフォートは1,000匹の宇宙怪物をおびき寄せ、ステーション総督の特別権限で、ステーションを核爆発させ、それらの怪物を抹殺する挙に出る。
しかし、問題がひとつ。
総督が脱出すると、ステーションのコンピュータは防護プログラムが再起動してしまい核爆発は起こせないのだ。
シーフォートはステーションと心中する覚悟を決めるが…
そこで超高速艇ヴィクトリアがやってきた。
ヴィクトリアの艦長は、シーフォートの旧友ホルサーだ。
先の航天で仲違いをしてしまったふたりだったが、ホルサーはシーフォートの覚悟を知り、その決断を理解すると、シーフォートの顎を砕き負傷させ彼を解任、自分総督になり、心中の身代わりになる。
シーフォート他、置いてけぼりをくらった連中はヴィクトリアに収容され、地球へ帰還する。
しかしヴィクトリアの乗組員はみなシーフォートが、敬愛するホルサー艦長を身代わりにさせ、自分だけおめおめ助かったことに怒り狂い、シーフォートは針のむしろの思い出9ヶ月の航天をし、地球に帰還する。
核兵器を使ったので、軍事裁判で極刑を覚悟していたシーフォートだが、宇宙怪物の脅威が明らかになって以来、国連憲章は改憲され、核兵器の使用は合法手段になっていたので、シーフォートはまったくおとがめなし。
しかも1,000匹の宇宙怪物を屠った英雄として、マスコミにもまつりあげられる。
シーフォートは今回の航天でもたくさんの仲間を死なせ、もうつくづく宇宙軍が嫌になっていたので、辞任を申し出るが、政治的な理由から、辞表は受理してもらえない。
きたるべき宇宙怪物との決戦のため、軍備拡張のための予算獲得と、新兵の大量募集のため、宇宙軍は英雄シーフォートの人気を利用しなくてはならなかったのだ。
というわけで、シーフォートは士官学校の校長になる。
(つづく)
モーム『魔術師』 [人文科学(主に小説)]
『月と六ペンス』で有名なモームのオカルトホラー小説を読んだ。
迷信嫌いの主人公アーサーは外科医。
彼には巴里に美人のフィアンセがいる。
巴里で彼らは悪質な魔術師と知り合いになり、アーサーは執念深い彼から恨みを買ってしまう。
魔術師は魔術で婚約者を支配し、自分の妻にしてしまう。
魔術師は妻をずっと処女のままにしておき、人造人間製造の実験の道具に用いて、結局死なせてしまう。
怒り狂ったアーサーは魔術師を絞殺して、奇怪な人造人間もろとも焼き払ってしまう。
(了)
モームがこんな作品を書くのかと驚いた。
C・ブロンテ『ジェーン・エア(下)』 [人文科学(主に小説)]
イギリスが誇る大ロマンス小説(の続き)を読んだ。
不幸な生い立ちからいろいろあって、ある地主の家庭教師になったジェーン。
いろいろ不幸を背負ってる地主(ロチェスター様)とラブラブになって、身分を越えた結婚に至る。
しかし、いざ結婚式の最中、異議申し立てがされる。
地主には気違いの女房がいるので、この結婚は重婚にあたるというのだ。
地主はジェーンに過去の秘密の全てを打ち明け、結婚は出来ないが、愛人関係になることを求める。
自立心の強いジェーンはめかけになるのはいやで、持つものも持たず、屋敷を飛び出し、ホームレスになる。
こじきをしながらやっとたどり着いたのが、兄妹妹の3人が暮らす没落した名家。
実はその兄妹妹はジェーンの従兄妹であることが判明して、いっさい身寄りのない孤児だと思い込んでいたジェーンは大喜び。
さらに親戚の金持ちが死んで、莫大な遺産がジェーンに転がり込み、ジェーンは経済的にも自立できた。
この従兄はものすごいハンサムなのだが、変人というか気違いじみた恐ろしい男。
従兄は牧師で、インドに宣教に行くのに、ジェーンを妻にして一緒に連れて行こうとする。
しかしジェーンはロチェスター様のことを本当に愛しているので、従兄の求婚は断り、ロチェスター様がどうなっているかさぐりをいれにいく。
驚くべきことに、狂った妻が放火自殺し、巻き添えを食って、ロチェスター氏の片方の眼球は飛び出し、もう片方の目も視力を失い、片腕は失い、足も悪くしてびっこをひくようになって、みじめな状態になっていた。
ジェーンの愛は、男が不具者になっても変わらず、ちょうど狂った奥さんも死んでロチェスター様も晴れて独身になったことだし、結婚して、子どもももうけて、ロチェスター様の視力もいずれ回復し、幸せに満ち足りた生活をおくる。
(了)
モーム『コスモポリタンズ』 [人文科学(主に小説)]
ファインタック『激闘ホープ・ネーション(上)』 [人文科学(主に小説)]
孤独な若艦長のSF冒険小説を読んでいる。
シーフォート艦長、三度目の航天である。
ハイバーニアは順調な旅でホープネーションにたどり着く。
前回、宇宙のどまんなかで、シーフォートたちを見捨てた提督に血統を挑み、提督は死亡、シーフォート宙佐も肺を失う。
肺は交換可能なのだが、不適応反応があって、このあとずっと苦しむ。
現在、連合軍の宇宙戦艦の1/3がホープネーションに集結している。
肺が悪いこともあって、シーフォート宙佐には戦艦が与えられず、地上勤務となる。
テロ騒ぎなどいろいろあるうち、宇宙怪物の猛攻撃が始まる。
集結していた宇宙艦隊の2/3が殲滅された時点で、宇宙軍は、太陽系を守るために、ホープネーションを放棄して撤退してしまう。
シーフォート宙佐も最後のシャトルで宇宙ステーションにあがる予定だったが、この植民星で独立革命騒ぎが起こって、シーフォート宙佐と若干の宇宙軍兵士は置き去りにされしまう。
(つづく)
『団塊世代60年』 [人文科学(主に小説)]
2007年問題に関する本を読んだ。
団塊世代というものを漠然と「50歳以上のおやじ」のことだと思っていたが、もっと狭い世代であることがわかった。
ちまたでよく言われる2007年問題の本質もなんとなくわかった。
団塊の世代の特殊性が、他の世代に比べて、以外に大きいことがわかった。
恵まれているんだか、恵まれていないんだか、よくわからないジェネレーションだ。
どちらかというと閉鎖的で自己完結的で自立心がなく、付き合いにくそうな人たちであると印象を受けた。
ファインタック『チャレンジャーの死闘(下)』 [人文科学(主に小説)]
宇宙航海、宇宙開拓がとても厳しいことがよくわかる傑作SFを読みました。
さて、宇宙怪物の攻撃を受けた損傷により、N波航法(ワープのようなもの)ができない状態で、70年以上かかる地球への絶望の帰路にチャレンジャーはつきました。
乗組員も乗客も不満たらたらで、主人公シーフォート艦長を悩ませます。
シーフォート艦長の不器用な性格もあって、孤立します。
読んでいて、読み進めるのが痛々しいほど厳しい状況が続きます。
奥さんや息子さんの死を悼むひますらありません。
多くの乗組員や乗客のクレームがあって、完全には修理できるはずもない、精密この上ないN波駆動系の修理をして、テストしてN波を発生させてみたところ…
宇宙怪物が突然現れて襲撃してきました。
どうやらイルカが超音波が聴こえるように、宇宙怪物はN波を聴くことができて、N波航天もできるらしいのです。
宇宙怪物群との死闘が始まります。
今までのストレスが吹き飛ぶような凄まじい戦闘シーン。
問題児、フィリップ・タイアは艦載機で特攻して、命と引き換えに艦を救います。
レーザー砲もすべて破壊され、推進剤も使い果たし、もはやこれまでか…
シーフォート艦長は宇宙怪物に艦船特攻を試みます。
チャレンジャーの先端部に宇宙怪物は串刺し。
そうしたら、運のいいことに宇宙怪物の力によってN波に乗ってしまい、2ヶ月ほどで無事地球に辿りつくことができました。
シーフォートは英雄になりました。
彼が地球に持ち帰った宇宙怪物の死体は、謎の宇宙怪物の秘密を解き明かすのにとても役に立つようです。
地球に降りるまもなく、彼は今度は懐かしの巨大戦艦ハイバーニアの艦長に就任し、改めてホープ・ネーション系へ向けて出航します。
(『激闘ホープ・ネーション!』につづく)
7月に発売される文庫の購入予定 [人文科学(主に小説)]
イェスペルセン『文法の原理(下)』(岩波文庫)
伊藤整『鳴海仙吉』(岩波文庫)
トルーマン・カポーティ『叶えられた祈り』(新潮文庫)
ジョージ・プリンプトン『トルーマン・カポーティ(上)』(新潮文庫)
ジョージ・プリンプトン『トルーマン・カポーティ(下)』(新潮文庫)
スティーヴン・キング『ダーク・タワーVI(上)』(新潮文庫)
スティーヴン・キング『ダーク・タワーVI(下)』(新潮文庫)
太平洋戦争研究会『太平洋戦争全史』
『フーコーコレクション3』
ヘンリー・ジェイムズ [人文科学(主に小説)]
ヘンリー・ジェイムズの研究がしたい。
The Princess Casamassima (Penguin Classics)
- 作者: Henry James
- 出版社/メーカー: Penguin USA (P)
- 発売日: 1987/01/29
- メディア: ペーパーバック
The Europeans (Penguin Popular Classics)
- 作者: Henry James
- 出版社/メーカー: Penguin Books Ltd
- 発売日: 1996/01/25
- メディア: ペーパーバック
The Wings of the Dove (Penguin Classics)
- 作者: Henry James
- 出版社/メーカー: Viking Pr
- 発売日: 1986/06
- メディア: ペーパーバック
What Maisie Knew (Penguin Classics)
- 作者: Henry James, Paul Theroux
- 出版社/メーカー: Viking Pr
- 発売日: 1986/01
- メディア: ペーパーバック
とりあえず、こんなところか。
ファインタック『チャレンジャーの死闘(上)』 [人文科学(主に小説)]
SF小説を読んでいる。上巻だけ読み終わった。
前作のあらすじ:
士官候補生として始めての航天に出た主人公シーフォート。
いろいろあって、自分が艦長の座に着く。
途中いろいろあるが、無事目的地に着く。
そこには謎の宇宙怪物がいた。
いそいで地球に逃げ帰る。
シーフォートは今度は砲艦チャレンジャー号の艦長を命じられる。
宇宙怪物を退治しなくてはならないのだ。
いろいろあって乗客のアマンダと恋に落ちる。
で、今作の上巻ははじまる。
シーフォートはアマンダと結婚していた。
宇宙怪物退治のための大規模な戦隊が組まれる。
チャレンジャーは提督が乗艦することになり、シーフォートはもっと小さな戦艦ポーシャの艦長に命じられる。
身重のアマンダも連れて行く(艦上で出産する)。
旅の途中、宇宙怪物に襲撃され、旗艦チャレンジャーはN波航法(ワープのようなもの)が不可能になる。
ポーシャも襲撃によって、被害を受ける。
シーフォートの息子も宇宙怪物のウィルス攻撃で死ぬ。
アマンダもショックのあまり自殺する。
というわけで、提督はポーシャに乗り移り、シーフォートは再びチャレンジャーの艦長に。
チャレンジャーは通常航法で70年以上かけて地球に帰還することになる。
広い宇宙に捨てられたも同然のチャレンジャーの乗組員と乗客たち。
食べ物は豆ばかりだし、彼らの不満は高まるばかり。
どうする、シーフォート艦長!
どうなる、チャレンジャー!
(つづく)
『百年の孤独』 [人文科学(主に小説)]
学生時代に途中で挫折した小説を読みました。
粗筋を紹介するまでもない、20世紀に書かれた世界的にもっとも有名な小説のひとつ。
たしか『時かけ』で有名な筒井康隆が「百年の誤読」とかいうパロディを上梓しているくらい有名な作品。
なんで、以前は途中で読むのやめちゃったんでしょう。
学生時代で忙しかったのもあるし、「ラテン」なノリについていけなかったのもあるし、登場人物が多すぎて混乱してしまったのもあるだろうし、エピソードの連続で、1本通った筋がないのも読みにくい原因だったかもしれません。
今、読んでみたら、やっぱり最初は読みにくかった。
でも独特の雰囲気に慣れたら、俄然面白くなって、もともと(英文学と比べると)あまり長い小説でもないので、イッキに読み終えました。
イッキ読みのせいもあるでしょうけど、読後、不思議な高揚感に包まれました。
厳密に言うと、これは小説ではない散文文学にジャンル別けされるのかもしれません。
書かれたのは最近ですが、形式的には小説以前の散文のスタイルをとっています(おそらく作者の意図的なものなのでしょうが)。
登場人物の多さといい、科学とオカルトが融合してしまっている点といい、『ファイブスター物語』を連想させられました。
逆に言うと『ファイブスター』に慣れていたので、今回はこれが読みやすかったのかもしれません。
永野先生もある程度この作品の影響を受けて、『ファイブスター』の壮大な不思議な世界を構築してみようという動機を与えられたんじゃないでしょうか、そんなことを想像しました。
『ある婦人の肖像(下)』 [人文科学(主に小説)]
ヘンリー・ジェイムズ読み終わりました。
というわけで、イザベルは心の通じ合わない夫とみじめな夫婦生活をおくってます(5年くらい経過したのかな?)。
彼女を礼賛している元婚約者(皆振られてる)たちはあいかわらず、独身のままで、何かきっかけがあるとイザベルと訪ねてローマにやってきます。
従兄のラルフがいよいよ危篤になったので、彼女はイギリスに戻ります。
夫はダメだと言われて、我慢しようかと思いますが、夫の過去の不貞など、全てのカラクリが暴露されたので、思い切って、夫に逆らいます。
イギリスにて、ラルフとようやく心を通じ合わせます。
ラルフ没後、彼女の身の振り方…
進歩的なアメリカ人の友人は離婚をすすめますが、結局、彼女はローマに戻ります。
(了)
行方先生の解説に詳しいのですが、未完というわけでなしに、オープン・エンディングで、なんのためにイザベルはローマに戻ったのか、書かれていません。
単なる気まぐれか、夫と闘うためか、夫を教化するためか、読者の想像にお任せでいいようです。
ヘンリー・ジェイムズは100年も前に亡くなっている作家で版権とかのわずらわしいものはないので、つい、想像力豊かな読者は「続編」を書きたくなってしまいますね。
調べてないので、単なる私の予想ですが、日本に紹介されているかどうかは別にして、絶対「続編」が近・現代作家によって書かれてると思います。
マダム・マールの含みのあるキャラとか、ことの真相が最後の最後まで明らかにされないので、読者は最後まで興味深く読むことが出来ます。
技法的には難解な小説ではないのですが、ヘンリー・ジェイムズがユニークというか奇妙な人格の持ち主なので、その芸術を理解するのは自然と難解になっているようです。
日本では意外とヘンリー・ジェイムズは過小評価されているようですね。
解説によると漱石も『鳩の翼』を紹介しようとして挫折したとか。
ヘンリー・ジェイムズの価値観がけっして古びているのではなくて、ユニークゆえ、特に日本人には理解しにくいのだと、私は思います。
『ある婦人の肖像(中)』 [人文科学(主に小説)]
ヘンリー・ジェイムズを読み続けております。
とても素晴らしい小説ですね。
イザベルはマダム・マールの策略にはまって、イタリア在住の、見栄っ張りの貧乏な子持ちのやもめ男(オズモンド氏)と婚約してしまいます。
一番良さそうな貴族のウォーバートン卿を再プロポーズ失敗。
アメリカのブルジョワ御曹司もアメリカから駆けつけますが、やっぱり袖にされます。
従弟のラルフもオズモンドの悪くとを言いますが、かえって彼女を意固地にするだけ。
イザベルは晴れてオズモンド夫人となりました。
そして案の定、イタリアで不幸に暮らしています。
ラルフは肺病が悪化して今にも死にそうです。
ウォーバートン卿とともに瀕死のラルフはイザベルを訪問しにイギリスからやってきました。
ウォーバートン卿は、イザベルの義理の娘、パンジー(20歳くらい年下)に興味を持ち始めました。
ラルフは相変わらず、死にそうなまま、生暖かくイザベルを見守っています。
(下巻につづく)
6月の文庫本購入予定 [人文科学(主に小説)]
うう、『スザンナの歌』…
でも、面白そうな本がたくさん出ます。
とても読みきれそうにない。
積読もまた読書の一形態なり。
イェスペルセン『文法の原理』(中)
川端康成『夕映え少女』
なんだこりゃ。
スティーヴン・キング『ドランのキャデラック』
倉橋由美子『老人のための残酷童話』
クウィーンのブライアン・メイの曲で有名になったね。
グレアム・グリーン『ブライトン・ロック』
『ガンパレードオーケストラ 白の章』
澁澤龍彦『夢の宇宙誌 新装版』
曽野綾子『至福の境地』
ミシェル・フーコー『フーコーコレクション(2) 文学侵犯』
ダン・ブラウン『天使と悪魔』(上)(中)(下)
『エウレカセブン』④
『三島由紀夫文学論集』③
『ある婦人の肖像(上)』 [人文科学(主に小説)]
『鳩の翼』に続いてジェイムズを読む。
ちょっと『鳩の翼』と混同してしまって、最初は混乱した。
『鳩の翼』のイギリスにやってきた純粋無垢なアメリカ娘は大金持ちだったが、この『ある婦人』のイギリスにやってきた純粋無垢なアメリカ娘は貧乏なのだ。
『ある婦人』とはおそらくアメリカ娘のイザベル。
彼女は美人なので、イギリスでももてもて。
いきなり貴族から求婚される。
でも、なんとなく断る。
アメリカから追いかけてきたブルジョワ御曹司からも熱烈に求婚される。
でも、なんとなく断る。
イギリスにはかの地で金融業で成功を収めた伯父さんを頼って、やってきたのだ。
従兄のラルフもイザベルを好きになるが、肺病持ちのダメ人間だと自覚しているので、暖かく彼女を見守るだけ。
金持ちの伯父さんは、彼女がやってきたときから危篤状態だった。
そして上巻の終わりの方で死んでしまう、彼女に莫大な遺産を遺して…
突然金持ちになった美人のアメリカ娘の運命やいかに。
(中巻につづく)
ラルフ・エンドの予感だが、はてさて。