オースティン『ノーサンガー・アベイ』 [人文科学(主に小説)]
オースティンのちょっと短めの長編(中編)小説を読んだ。
もっとも初期に書かれたものらしく、また内容的にもちょっと軽薄で、『プライドと偏見』などで流行作家になっていたにもかかわらず、女史の死後までお蔵入りになっていた不遇の中編。
ゴシック小説好きのロウアーミドル階級の主人公キャサリン(16歳)と、アッパーミドル階級のヘンリー・ティルニー(18歳)の恋愛とその幸福な結末。
ふたりは温泉地バースの社交場で出会い、恋に落ちる。
前半はバースでの生活。
キャサリンに振られた悪友がティルニー将軍(ヘンリーのパパ)にいろいろ誤解を与え、後半ではノーサンガー・アベイにキャサリンは招かれ歓待され、ヘンリーとその聡明な妹と楽しいときをすごす。
ゴシック小説に夢中で、ちょっとおばかだったキャサリンも、現実を学び賢くなっていく。
例の悪友がティルニー将軍にまたしょうもないことを吹き込み、誤解はさらに深まり、キャサリンはノーサンガー・アベイを追っ払われ、涙の一人旅で賃馬車を乗り継ぎ実家に帰る。
父親は2人の仲を裂こうとするが、ヘンリーは父親にさからって、キャサリンに求婚する。
やがて将軍の誤解もとけて、ハッピーエンド。
(了)
途中ちょっとキャサリンが想像をたくましくするあたりはちょっとかったるいですが、青天の霹靂でアベイを追い出される辺り、その事情のリアリズム(要するにカネの話)などはさすがの迫力でぐいぐい作品に引き込まれていきました。
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