スティーヴン・キング『スザンナの歌(上)』 [人文科学(主に小説)]
ダークタワーシリーズの第六部が始まりました。
第五部でカーラにて狼退治をしたガンスリンガー一行。
しかし、スザンナは妖魔の子を孕み、謎の母親「マイア」に精神も乗っ取られ、黒の水晶球を盗み出し、1999年のニューヨークに逃亡します。
マイアは1999年のニューヨークに協力者がいるらしく、そこで妖魔を出産するつもりです。
スザンナは完全に人格を失ったわけではなく、ひとりの女性の中に、マイア、スザンナ、さらに復活したあばずれデッタ・ウォーカーも共存している状況で、その場その場において誰かが主導権をとったりとられたり。
上巻の前半はそんなスザンナの冒険。
60年代の女性だったスザンナ(オデッタ)は、99年のニューヨークに戸惑います。
いろいろあって居心地の良いホテルの一室に収まります。
マイアは、スザンナも読者も知らなかったいろいろな情報をもたらしてくれます。
妖魔の父親の正体もついに判明します。
後半は、ローランドとエディの冒険。
水晶球は失われましたが、カーラの時空を旅する邪教徒集団の魔法の力によって、閉ざされた扉は再び開きます。
宇宙を支えている、異世界のダークタワーは、コチラの世界ではニューヨークの空き地に咲く1本の薔薇です(なぜ?)。
その空き地の所有権をめぐる争いが70年代のメイン州で繰り広げられます。
その空き地を代々所有してきたのは稀覯本の収集家の偏屈な親父。
マイアの告げ口によって、ローランドが現れる地点と時間がわかっていた紅の王の手下はギャングの大集団を待機させていました。
ローランドとエディは、70年代に現れるや否や彼らとの激しい戦闘になります。
エディは負傷しますが、「カ」の導きによるものか、協力者があらわれ、ローランドたちは無事、古本屋に追いつきます。
古本屋は所有物を手放すのが大嫌いなタチで、前回の約束を反故にして、土地をローランドに売らないと言い出し、エディはブチキレそうになります。
ローランドがハイスピーチかなにかで、古本屋を口説いて、無事、土地(と薔薇)はローランドたち「テットカンパニー」が所有することに。
エディは、『呪われた町』のキャラハン神父同様、自分もスティーヴン・キングの創作人物なのではないかとアイデンティティが揺らぎます。
(つづく)
第五部あたりからちょっとメタフィクションめいてきたのが気になります。
下巻は、スザンナを追って、99年に行ったキャラハン神父とジェイクの冒険でしょうか。
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