ヘンリー・ジェイムズ『ワシントン・スクウェア』 [人文科学(主に小説)]
難解な心理小説で知られるジェイムズの一番人気の中編小説を読んだ。
短い(240ページほど)せいもあってたしかに読みやすい。
主人公キャサリンは美人でもなく、賢くもない。
だけど本人も母親から相続した独立した財産があり、さらに父親もお金持ち。
その財産を狙ってモリス青年が求婚してきた。
疑うことを知らないキャサリンは、モリス青年にぞっこんになる。
キャサリンの父親は外科医でたいへん非情だが聡明な人物なので、すぐにモリス青年の魂胆を見抜いて、ふたりの仲を裂こうとする。
しかし、キャサリンも父親の頑固な性格を受け継いでいて、絶対にモリス青年を諦めない。
そこで、父親は遺書を書き換えて、キャサリンには遺産がいかないようにする。
その父親の決意が脅しでなく、本物だと悟るとモリス青年はさっさと婚約破棄して去っていく。
キャサリンは失意のどん底に落ち込み、終生独身ですごすようになる。
(了)
キャサリンとそのパパの対決の緊迫感が読みどころ。
キャサリンパパは、キャサリンの出産によって愛妻を失っているので、その娘に対してたいへん複雑な気持ちを抱いているようだ。
コメント 0