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ヘンリー・ジェイムズ『黄金の盃』 [人文科学(主に小説)]

ヘンリー・ジェイムズの最高傑作長編を読んだ。

ヘンリー・ジェイムズ作品集 (5)  黄金の盃

ヘンリー・ジェイムズ作品集 (5) 黄金の盃

  • 作者: ヘンリー・ジェイムズ
  • 出版社/メーカー: 国書刊行会
  • 発売日: 2005/10
  • メディア: -

とことんまで心理描写にこだわっており、そのため登場人物は少ない。

純粋なアメリカ人の父娘(母は早世)がイギリスにやってきた。

パパは大金持ちで美術品のコレクター。

ヨーロッパ中の美術品をカネにあかせて買い漁っている。

アメリカの故郷に美術館を開くのだ。

 

イタリア人の没落貴族の末裔の公爵とシャーロットはラブラブ。

だけどふたりは貧乏なので結婚できない。

 

そこで、いろいろおせっかいな人のはからいもあって、公爵はその金持ちのアメリカ娘と結婚し、シャーロットはそのパパと結婚する。

 

アメリカ人の父娘(アダムとマギー)は大の仲良しで、ふたりとも社交嫌いで、マギーと公爵の息子と3人、なかばひきこもって仲良くしている。

 

一方社交好きの公爵のシャーロットの義理の母と息子(もとカップル)は、いつもふたりでいちゃいちゃ(?)している。

 

こんな平和で満ち足りた生活を象徴して、ひびのはいった黄金の盃としている。

 

ひびのはいった黄金の盃に対する、処し方は各人各様だ。

 

公爵はそんなものは価値がないと無視する。

シャーロットは欲しがるが、公爵の意見に従う。

マギーはころっと騙されて買ってしまう。

アダムは、そんな盃が存在しているのかしていないのかも不明(とぼけ?)。

ファニー・アシンガム夫人は、床に叩きつけて、盃をぶち壊してしまう。

マギーは2片だか3片に割れた盃をもとに戻そうとする。

 

前半は公爵の視点で、アメリカ人父娘の無邪気さを見つめられる。

後半はマギーの視点から、真実の探求がなされる。

 

結果、マギーは成長する、あるいはイノセンスを失う。

 

アダムとシャーロットの夫妻はアメリカに帰り、公爵とマギーの夫妻はイギリスにとどまる。

 

(了)

 

一見難解だが、登場人物が整理されているので、意外と読みやすいと思う。


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