ドナルド・サザーランド『白く渇いた季節』 [境界性人格障害]
キーファー・サザーランドのパパの主演映画を観た。
クリント・イーストウッド主演の『戦略大作戦』以来、ドナルド・サザーランドのファンになりました。
今では息子の方が有名なようですが、パパのとぼけた演技は面白い。
どんな役をやっても必ず天然系に面白くなってしまいます。
少なくとも演技を観た感じでは、けっして受け狙いをしているようには見えないのですが。
この映画はとてもシリアスな映画。
アパルトヘイト時代末期(黒人の労働組合などが認められるようになった頃)の南アを舞台にした、黒人(被支配者)と白人(支配者)の命がけの生存競争を描いた悲劇。
この映画が公開されたのは89年で、アパルトヘイトが全面廃止されたのが93年というのも興味深いデータですね。
南ア生まれで、南ア育ちの、平凡だが善良なハイスクール教師役がドナルド・サザーランド。
それまで、白人コミュニティで、何不自由なく、アパルトヘイト政策にも疑問を抱かずに平和に暮らしてきたが、とある事件をきっかけに、反アパルトヘイト運動に参加するようになり、家庭は崩壊し、最後は悪い警官に暗殺されてしまう。
人種差別が大嫌いで有名なマーロン・ブランドも人権派弁護士といういかにもの役で登場して、吃驚。
でも役作りが凝ってて、キャスティングで指摘されなかったら、あれがマーロン・ブラントだとは気づかなかっただろう。
マーロン・ブランドもつくづく個性的な俳優だと思った。
あれほど「自然な演技」を嫌う人も珍しいのではないか。
とても感動的な映画だった。
こんな素晴らしい映画が廉価版のDVDで入手できるなんて良い時代に生まれ合わせたことだろう。
ところでアマゾンで検索してヒットして気になったモノ。
アダルトビデオらしいのだが、『白く渇いた季節~』は明らかに、上で紹介した映画を念頭に置いてのタイトリングだろう。
どんなものだろうと、ちょっと興味をひかれた。
たぶん映画作家崩れのAV監督が趣味で適当につけただけだろうと思うが。
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