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顧客第一主義 [思想・信条]

『カテゴリー・キラー』を読んでの感想文なり(たぶん最後)。

カテゴリー・キラー 小売革命でここまで変わる!消費の「質」と「意味」

カテゴリー・キラー 小売革命でここまで変わる!消費の「質」と「意味」

  • 作者: ロバート・スペクター
  • 出版社/メーカー: ランダムハウス講談社
  • 発売日: 2005/11/04
  • メディア: 単行本

日本ではあまり普及していない、セルフレジ。

日本のスーパーなどではほとんどのお店で、従業員がバーコードをピッピッと機械に通して会計をしてくれる。

アメリカではあれを買い物客が自分でやるところが増えているそうな。

とりあえず例のウォルマートの話だけど。

なんでも自分でやるのが好きなアメリカ人らしいなと思った。

なんでもDIY。

日本でも最近はDIY(よく知らないがたぶん「Do It Yourslf」の略だと思う)が流行してきて、うちの近所のホームセンターもけっこう盛ってる。

でも日本人には人になんでもやってもらうのが好きな人が多いように思う。

とくにおばさん、おばあさんには人任せが好きっぽい印象がある。

アメリカ人のように自立心がない国民性なのかなとも思う。

 

アメリカの消費者は自分でレジを通すのが好きらしい。

従業員にやってもらうよりも待たなくてすむのかと思うと、そうでもないとのこと。

従業員にやってもらうより、自分でやる方がよっぽど時間がかかるらしい。

商品を盗まないよう、バーコードを読み取らせた後、その商品を計りに乗っけないとならないらしくてその手間で遅くなるらしい。

簡単な作業といえ、慣れてる従業員の方が速いに決まってる。

それに面倒だろう。

でもアメリカの消費者はセルフレジの方を支持しているらしく、興味深い。

 

店としても、それで大いに助かっているらしい。

全部客任せで、商品がバンバン盗まれてしまいそうだが、アメリカの場合、消費者よりも、企業に忠誠心のない低賃金労働者なレジ係の方が商品をよく盗むのだそうだ。

日本のスーパーの経営者は、どちらかというと、従業員よりも買い物客のショップリフティングを警戒しているように思えるが、実際どうなんだろう。

日本でも銀行なんかは明らかに強盗による被害より、従業員の横領の被害額の方が高そうだが、スーパーでも同じような事情なのだろうか。

日本の小売店でも、棚卸しで帳簿と実際の商品在庫が合わないのを万引き被害だと思い込んでいるかもしれないが、けっこう従業員が盗ってる分も多いんじゃなかろうか。

管理職待遇を受けている幹部社員は別として、リストラ流行りの今どき、低賃金労働者的に言って、自分の雇い主に対してそれほど忠誠心も持っていないだろう。

ストック・オプションで将来、自分の勤め先が自分の持ち物になる予定なら、勤め先の会社を大事にもするだろうが、使い捨ての労働者として扱われていれば、あまり良い気分ではなかろう。

信心深い者は、他人は誰も見てなくても、全知全能の神様がちゃんと見てるから盗みははたらかないものだろうが、日本人に多い無神論者は他人にバレる心配がなけりゃ、売買春だろうが、路上喫煙だろうが、DVだろうが、どんな悪いことでもやってしまうものだ。

まして無能な経営者がなくなった商品は全て万引きにやられた思ってくれるなら、従業員にとっては小売の職場は盗む易い猟場だ。

 

ウォルマートの経営者はもちろん、自分のところの(下っ端の)従業員よりも顧客を信頼している。

自分のところの(下っ端)の従業員よりも顧客の方を大事にしてあげている。

カテゴリー・キラーと呼ばれるような今どき成功している小売店は、たいてい顧客第一主義が功を奏しているようだ。

顧客を喜ばすために、(下っ端の)従業員を泣かせている。

アマゾンもそうやってカテゴリー・キラーにのし上がったと、ものの本に書いてあった。

潜入ルポ アマゾン・ドット・コムの光と影―躍進するIT企業・階層化する労働現場

潜入ルポ アマゾン・ドット・コムの光と影―躍進するIT企業・階層化する労働現場

  • 作者: 横田 増生
  • 出版社/メーカー: 情報センター出版局
  • 発売日: 2005/04
  • メディア: 単行本

 

アマゾンは顧客にとっては便利で楽しく素敵なお店だが、(下っ端の)労働者にとっては一切の希望を与えられない地獄のような現場だとルポされている。

 

「顧客第一主義」はアマゾンに限ったことではなく、今どき成功している小売店はどこもそうらしい。

日本の企業はなんといっても自分のところの従業員ばかり大事にして、顧客をないがしろにしてきたので敗色が濃くなっているらしい。

従業員は大事にするくせに(従業員に「社員」なんてご大層で偉そうな肩書きを与える頭のいかれた企業が日本には多い)、顧客を大事にしないで、顧客にそっぽをむかれて倒産した企業も少なくないことだろう。

構造改革で「顧客第一」に転換できた企業は生き残れそうだ。

 

日本人はアメリカ人とメンタリティが似てて、ヨーロッパ人のように労働者の権利に敏感でないようだ。

ストライキやサボタージュでサービスが滞るとたいていの消費者は、労働者運動を応援するどころか、憤慨する向きが多いのではなかろうか。

いつだったかのバス会社のストのとき、バスに乗れないで怒ってる乗客(正確にはバスに乗れないんだから「乗客」じゃないが…)がTVに映ってた。

私なんかは労働者階級の塊の鬼のような人間だから、ストでバスが動かなくなったら普通に労働者運動の前進を肌身に感じて嬉しいがな。

そのTV報道で、バスの運休を怒ってた人はたまたまブルジョワ階級の人間だっただけかもしれないが(ブルジョワ階級の人間はあまりバスを利用しないけどね、普通)。

 

とにかく、消費者としては、「顧客第一主義」はありがたいものだ。

しかし逆に、(管理職以下の)労働者にとっては、「顧客第一主義」はかなり厳しいもののようだ。

面白い、というか難しいのは、この消費社会においては、労働者もまた(拘束時間外は)消費者であることだ。

労働者としてのアイデンティティがより強いか、消費者としてのアイデンティティがより強いかによって、小泉政権下の「改革」路線の続く今の時代が生き易いと感じるか、生き辛いと感じるかかわってくるように思える。

 

アマゾン(のような小売業)を利用して生きていける人間(「勝ち組」?)には良い世の中だが、アマゾン(のような小売業)で働かないと生きていけない人間(「負け組」?)にはつらい世の中だ。

 

私も告白すると、はずかしながらちょっと消費者的な日和ったところも実はあって、ヨドバシカメラとかビックカメラとかマクドナルドが大好きだ。

ヨドバシカメラは従業員に(比喩でなく)蹴りを入れるような組織だし、ビックもマクドも従業員にサービス残業を長年やらせてきた、労働者的に言って、とうてい許し難い悪徳企業なのに、その悪徳ぶりが迫力のある安さの原動力だと思うとあまり怒りを感じないのだ。

というよりもむしろ、労働者を蹴りつけてまで酷使して顧客にご奉仕させるヨドバシカメラを頼もしく誇らしく思ってしまったりもするのだ。

困ったものだ、「顧客第一主義」。

 

2審もヨドバシに賠償命令 従業員が派遣社員に暴行で

 派遣先のヨドバシカメラ(東京)の従業員から暴行を受けたとして、派遣会社の元男性社員(28)が、ヨドバシカメラと同社従業員に100万円の慰謝料を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は8日、10万円の支払いを命じた1審東京地裁判決を支持、ヨドバシカメラ側の控訴を棄却した。
 判決理由で南敏文裁判長は「従業員の暴行があったと認められ、ヨドバシカメラは使用者責任を負う」とした。
 判決によると、男性は2002年12月7日、ヨドバシカメラの上野店で、仕事のミスから従業員に脚を3回けられた。
 ヨドバシカメラは「コメントは差し控える」としている。

                     (共同通信) - 381721分更新

 

 

 大手家電量販店「ビックカメラ」(東京都豊島区)は16日、従業員らに対し、不払いになっていた残業代など約30億円を支払ったことを明らかにした。

 同社を巡っては、フロア主任ら110人分約1億2700万円の残業代が支払われなかったとして、東京労働局が先月、同社と幹部7人を労働基準法違反(割増賃金不払いなど)容疑で書類送検した。

今回の支払いで、刑事告発などは取り下げられた。

      (筆者注:この去年の記事のソースわかりません)

 

 

 

日本マクドナルドホールディングスが従業員に対し、30分未満のアルバイト料や残業代を支払っていなかった問題に絡み、群馬県新町在住の店長、高野広志さん(44)が4日、東京都内で記者会見した。「実態は管理職ではないのに管理職とされ、残業代が支払われないのは労働基準法違反」などとして、同社を相手に2年間の未払い分計五百数十万円の支払いを求め、来月にも提訴することを明らかにした。
 高野さんや東京管理職ユニオンなどによると、高野さんは00年12月から店長となり、今年2月からは埼玉県北部の直営店に勤務。月70~100時間の残業があるにもかかわらず、時間外手当が支払われていないといい、店長に昇格する前に比べ、年収が約300万円も減ったという。
 労働基準法は時間外勤務に対する割増手当の支払いを企業側に義務付けているが、管理監督者は適用除外。同社は高野さんら店長について、(1)出・退勤時間の自由裁量がある(2)人事権がある(3)報酬が高額――を理由に管理監督者として扱っているという。
 高野さんは「残業が月100時間にも及ぶ実態は、勤務時間に裁量がない事実を示している。人事権はアルバイトの採用のみで、年収は約600万円に過ぎない」と反論している。 

         (筆者注:この去年の記事のソースわかりません)

 

残業手当問題響き大幅減益 マック、売上高5・7%増

 日本マクドナルドホールディングスが10日発表した2005年12月期連結決算は、売上高が前期比5・7%増の3256億5500万円だったものの、社員やアルバイトの残業代の計算方法が不適切だった問題に関連する未払い賃金の支払いにより特別損失が膨らみ、純利益は98・3%減の6000万円と大幅な減益となった。
 100円メニュー投入で既存店客数が12・3%増、既存店売り上げも3・3%増えた。「えびフィレオ」バーガーなど新製品も好調だった。原田泳幸会長兼社長は「客数を増やすことが最も重要で、100円メニューをやめるつもりはない」と語った。             
(共同通信) - 2101840分更新


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