彼女の残像 [倹約・節約]
彼女とは去年別れた。
今はさみしい独り身である。
でも、もともとぼーっとした性格・性質なので、あまり危機感がない。
今でもなんだか手の届く距離に彼女がいてくれるような気がしている。
もうすぐヴァレンタイン・デイだ。
毎年、私はチョコレート以外の物を貰っていた。
チョコレートのような食べたらないなってしまうものを、愛の贈り物として受け取るのはなんだかせっかくの相手に悪い気がした。
チョコレートは大好きだが、消化したら、愛もとろけて消えてしまうようではかなくてやるせない。
だから、彼女を説き伏せて、実用的な物で貰っていた。
たいていは手袋とか耳栓とかちょっとした身に着ける物。
今年のヴァレンタインにはそんな物を贈ってくれる人はもういないのに、ふとしたはずみに、今年は何をリクエストしようか考えている自分がいた。
今年はベルトが欲しいのである。
今、私服で愛用しているベルトは自分でダイエーで買った1,050円の安物で、まだ2年も使っていないのに、もう切れそうである。
愛情のこもった、なかなか切れない丈夫なベルトが欲しい。
儚い夢だこと。
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