『盗まれた街』 [人文科学(主に小説)]
古いSF小説読みました。
The Body Snatchers という原題の方が有名かもしれません。
私もあまりSFには詳しくないのですが、古典SFとして話には聞いてました。
ホラーの要素が強くて、スティーヴン・キングにもつながる要素ありです。
55年に書かれたものであるせいか、作者の資質によるものか、キングホラーに比べたら、非常にお上品です。
暴力やセックスがあまり表現されていません。
主人公は育ちの良いお医者さんで、悪い異星人にさえ暴力をふるうのを遠慮します。
ヒロインとも何度もチャンスがありながら、セックスしません(最後は結婚しますが)。
地球を滅ぼすつもりの悪い宇宙人もあまり非暴力的です。
キングの乱暴なホラーに慣れている私には、かえって新鮮でした。
結局、地球は滅亡しません。
宇宙人が去っていくシーンは幻想的でよかったです。
被差別階級の靴磨きの黒人の挿話も白人の優越意識を皮肉るエピソードもヒューマニズムがあってよかったです。
キングの『シャイニング』を連想しました。
キングの『シャイニング』、もともとのタイトル案は『シャイン』だったそうですが、「シャイン」だと黒人の靴磨きをさす差別用語だから変えるようにアドヴァイスされ、それに従って『シャイニング』に変更したんだというエピソードを思い出しました。
『小説作法』に書いてあったんだと思います。
記憶違いだったら、ごめんなさい。
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